ビルの設備図面や点検の報告書に「AHU」や「エアハン」と書かれているのを見たことはないでしょうか。これはエアハンドリングユニットのことで、大きな建物の空調設備で、空気を整える中心的な機器です。この記事では、エアハンドリングユニットの役割と中身の構成、身近なエアコンとの違い、管理するうえでの注意点を初心者向けに説明します。
エアハンドリングユニットとは
エアハンドリングユニット(Air Handling Unit、略してAHU)は、空気の温度や湿度、きれいさを整えて、ダクトで各部屋に送り出す大型の空調機です。日本語では「空気調和機」とも呼ばれます。
大きな特徴は、自分では熱をつくらない点です。別の場所にある熱源機器(冷凍機やボイラーなど)から冷水や温水、蒸気を受け取り、その熱を使って空気を冷やしたり暖めたりします。セントラル空調と呼ばれる空調設備の中で、空気を仕上げる役割を担っています。
知っておきたいポイント
1. 空気を整える部品が順番に並んでいる
エアハンドリングユニットは、箱形の本体の中に次のような部品が収められています。空気はこれらを順に通り抜けます。
- エアフィルター:ほこりなどを取り除く
- コイル(熱交換器):冷水や温水が流れる管で、空気を冷やす・暖める
- 加湿器:乾燥する季節に湿気を加える
- 送風機:整えた空気をダクトへ送り出す
冷房のとき、空気はコイルで冷やされると同時に、含んでいた水分が結露して取り除かれます。これが除湿の働きです。
2. 外の空気を取り入れて換気もできる
エアハンドリングユニットは、外の空気と室内から戻ってきた空気を混ぜて処理できます。温度と湿度を整えてから送るため、換気をしながら快適さを保てます。多くの人が集まるオフィスや商業施設、劇場などで重宝される理由です。
外の空気を処理することに特化した機種は「外調機(外気処理空調機)」と呼ばれます。
3. 建物に合わせて仕様を決められる
送る風の量、コイルの大きさ、フィルターの性能、加湿の方式などを、建物の用途に合わせて選べます。病院の手術室や工場のクリーンルームのように、空気のきれいさや湿度を厳密に管理したい場所では、高性能なフィルターを組み込むこともできます。
注意点・よくある勘違い
大きなエアコンではない
エアコンは、冷媒を使って自分で熱をつくり、主に温度を調整する機器です。エアハンドリングユニットは熱源を外部に頼り、温度に加えて湿度や清浄度、換気までまとめて扱います。役割の範囲が違うと考えると分かりやすいでしょう。
設置にはスペースが必要
本体が大きく、太いダクトも通すため、機械室や天井裏に十分な空間が求められます。あとから追加するのは簡単ではなく、建物の計画段階から考えておく必要がある機器です。
フィルターやコイルの汚れは性能に直結する
フィルターが目詰まりすると風量が落ち、コイルが汚れると熱の受け渡しが悪くなります。どちらも、効きの低下やエネルギーの無駄につながります。結露した水を受けるドレンパンに汚れがたまると、においやカビの原因にもなります。加湿器を含め、定期的な点検と清掃が欠かせません。
1台が広い範囲を受け持つ
1台で1フロアや複数の部屋をまかなうことが多いため、部屋ごとに温度を細かく変えるのは得意ではありません。この弱点を補うために、ファンコイルユニットなどと組み合わせる建物もあります。
まとめ
- エアハンドリングユニットは、空気を整えてダクトで送る大型の空調機
- 熱は自分でつくらず、熱源機器から冷水や温水を受け取る
- フィルター、コイル、加湿器、送風機で構成される
- 外の空気を取り入れ、換気と空調を同時に行える
- フィルターやコイルの定期的な清掃が性能を保つ鍵
名前は難しく聞こえますが、空気を「ろ過して、温度と湿度を整えて、送る」機器だと覚えておけば十分です。